10月の「あさってのファッションとウェブの勉強会」は、中野のクリーニング店「ファッションメンテナンス GINYOSHA (銀洋舎)」さんでクリーニングとファッションメンテナンスについて学びました。クリーニングを利用していても、普段は見ることのない工場を見学させていただき、クリーニングやファッションメンテナンスへの取り組みの考え方をお聞きしてきました。
参加者のみなさんは、お気に入りの服を大切にメンテナンスをして、きれいに長く着続けるといったことに関心があるようでした。またアパレル関連の事業に携わる参加者は、商品のクリーニング・洗濯への対応や、お客様の手に渡ったあとのサポートが課題のようです。
「ファッションメンテナンス GINYOSHA」は、クリーニング店として開業し、現在の小黒一也社長が3代目です。1953年の創業から、時代ごとの暮らしや衣類に合わせて、クリーニングの打ち出し方や、注力する商品を変えながら現在に至ります。5年前ほど前からは高級クリーニングと事業者向けの事業にも取り組んでいます。クリーニング店として店頭にお持ち込みになるお客様へのサービスだけでなく、マンションのコンシェルジュサービスとの提携、ウェディングドレスを扱うドレスサロンとの提携、アパレル企業へのクリーニングやファッションメンテナンスのコンサルティングなどをされています。
小黒一也社長は、英国王室御用達の高級クリーニング店、JEEVES(ジーヴス)が日本に展開していたときの、テクニカルディレクターをつとめた経歴をお持ちです。クリーニング技術にとどまらず、お客様の生活スタイルに合わせて、どのようなサービスを提供するかという視点でのお話も聞くことができました。アパレルで取り扱われる衣類の動向やファッションについても常にリサーチされています。
勉強会のなかでは、一般的なクリーニングの仕組みや方法のお話と、GINYOSHAさんのクリーニングやメンテナンスの工夫や取り組み方を説明してもらいました。
工場の洗濯機や乾燥機などの設備を見ながら、実際に洗浄している工程や、シャツのプレスを見せていただきました。写真のマネキンのような立体的なシャツプレス機は、八王子にある日本のメーカーの製品で、海外の高級クリーニング店でも広く使われている評価が高い機材だそうです。
ジャケットは、型崩れを防ぐために袖の部分をしつけ糸でしつけをしてから洗浄していたり、繊細なボタンなどは、一度取り外してから洗い、最後の仕上げで付け直すそうです。1点、1点の洋服の状態に合わせて、お客様のご要望にそってきめ細やかなメンテナンスを提供できるのは自社工場がある強みです。
シミ抜きや色掛けは理論と方法もご説明してもらいました。ご参加の方が着ていらしたジャケットの、これまでのクリーニングでは取れなかっというしみを、さっと落とした時には、歓声が上がりました!
様々な生活者のニーズに対応する形で、洗濯・クリーニングと衣類の扱いも多様になっています。工場併設のクリーニング店、クリーニングチェーン店、また自宅でのおしゃれ着用の洗剤の利用や、自宅で洗える衣類など、洗濯とクリーニングの私たちの選択肢の幅は広がりっています。情報を得ながら、洋服の用途や素材に応じて、適切なクリーニングや洗濯を選んで使い分けられることができるといいなと思います。