8月2日(日)18時~、開催しました「Fashion Biz Study 006 ファッションビジネス法律講座シリーズ」のレポートです。 講師に山本 真祐子弁護士をお招きして「ファッションビジネスにおける模倣品対策」について学びました。
ファッションビジネスにおける模倣品対策
Fashion Biz Study 006 ファッションビジネス法律講座シリーズ
講師:山本 真祐子(弁護士)
2015年8月2日(日)18時開催
講師の山本弁護士は、弁護士法人内田・鮫島法律事務所で主に特許・意匠・商標・著作権・不正競争防止法等の知財法務を行っていらっしゃいます。また2015年、クリエイティブな文化活動を支援するための専門家NPO「Arts and Law」のメンバーを中心とするプロジェクト「Fashion and Law」に参画されています。
先日、ファッションブランド商品の形態模倣での刑事告訴が受け入れられ、国内で初めて当事者が逮捕されるという事件がありました。
他の業界と比較すると概してライフサイクルが短いアパレル商品はどのように権利保護されるのか。休憩中や講義後にも質問が相次いで、受講者のみなさまの関心の高さが伺えました。
はじめに山本弁護士から本日のアジェンダをご提示いただき、こちらにそって講義を進めていきました。
【概要】
・「模倣」に関わる法律の概要
・どの程度の模倣が法的にNGとなるかの感覚
・模倣されたときの対応方法・注意点
を学ぶ。
【アジェンダ】
・日本におけるファッションの法的保護
・ブランド名・ロゴマークの保護
・デザインの保護
・模倣されたときは?
【ファッションの法的保護】
1. ブランド名・ロゴマーク
●商標法
●不正競争防止法(周知著名表示) *有名であることが必要
●著作権
*上記は上から下に向かってその法的効力が強いものから弱いものを示しています。
登録商標は商標法によって保護されます。
登録が不要な不正競争防止法によるブランド名・ロゴマーク保護を受けるためには、有名であること、そして有名であることを立証する必要があるため山本弁護士はスタートアップの方などには商標登録することをすすめているとのことでした。
ブランド名・ロゴマークには基本的に著作権は認められません。
●商標法
商標権は登録制で更新をし続ければ半永久的に権利を保有することができます。
– 商標権によってどのようなものが守られるのか
– 登録できないものにはどういうものがあるのか
– 商標権によってどのような範囲の模倣行為を取り締まれるのか
ということを判例をあげながらご説明いただきました。
●不正競争防止法(周知著名表示(1号・2号)) *有名であることが必要
– どのようなものが不正競争防止法(周知著名表示(1号・2号))によって守られるのか
– 不正競争防止法による保護のメリット
– 有名とは?
といったことをご説明いただきました。
2. デザイン
●不正競争防止法(形態模倣(3号)、周知著名表示(1号・2号)) *周知著名表示(1号・2号)は有名であることが必要
●意匠法
●商標法(地模様、立体商標) *識別力があることが必要
●著作権(Tシャツの図柄、地模様等)
●不正競争防止法(形態模倣(3号)、周知著名表示(1号・2号)) *周知著名表示(1号・2号)は有名であることが必要
洋服などアパレル関連商品のデザインの模倣は不正競争防止法(3号)の形態模倣(3号)によって争われるものが多く、先日の「スナイデル事件」も不正競争防止法の形態模倣(3号)が適用されて逮捕されるに至りました。
その商品に特徴的な部分が複数あるときは、少なくともその特徴的な部分がすべて類似であると判断されなければ模倣とされません。「スナイデル事件」ではすべての特徴がそっくりそのままで、またECサイト上の商品説明文もスナイデルのECサイトの商品説明文と同一でした。
– どのようなものが不正競争防止法(3号)によって守れるのか
– どのような範囲の模倣行為を取り締まれるのか
といったことを多くの判例をあげてご説明いただいて、受講者のみなさんはどこまで類似していたら不正競争防止法違反とみなされるのかという感覚を身につけていきました。
●意匠法
意匠権とは、新規性と創作非容易性があり、美感を起こさせる外観を有する物品の形状・模様・色彩のデザインの創作について、意匠法の登録を受けた権利です。登録日から20年が権利期間でその後はそのデザインに新規性がないと判断され、登録更新できません。期限が切れた後は、その形が有名になったものについては不正競争防止法(周知著名表示(1号・2号))で権利保護していくことになります。
– どのようなものが意匠権によって守られるか
– どのような範囲の模倣行為を取り締まれるのか
をご説明いただきました。
●商標法(地模様、立体商標) *識別力があることが必要
・(識別性のある)地模様
・(識別性のある)ブランドカラー
・(識別性のある)立体的形状
を商標登録することで、それらを使ったアパレル商品を保護できる可能性があります。
3. 模倣されたときは?
自社製品を模倣を模倣されたことが発覚した際の対応方法をご説明いただきました。
暑い中、足をお運びいただきご受講いただきましたみなさま、ありがとうございました。
次回のFashion Biz Studyは、9月6日(日)18時~です。詳細が決まり次第、お知らせします。