東京都現代美術館で6月28日(日)まで開催中の展覧会「山口小夜子 未来を着る人」に行ってきました。
1970年代初頭より、アジア人初のトップ・モデルとして世界を舞台に一世を風靡するとともに、国内に向けても日本女性の新たな美を提示した山口小夜子。 彼女が晩年の数年間、若い世代の表現者たちと、ファッション、音楽、映像、演劇、朗読、パフォーマンス、ダンスなどが混在する実験的な試みを行っていたことは、これまで十分に紹介されてきませんでした。 本展覧会は、彼女の生涯を振り返りつつ、常に時代の先端を走り続けたその遺伝子を未来へと渡すものです。 その軌跡を通して、世界を視野に独自性を形成していった70年代以降の日本文化の、極めて重要な一断面が明らかになるはずです。
本展はふたつの要素が入り組んだものとなります。
ひとつは、コラボレーションを通じて、世代やジャンル、東洋と西洋、オーバー・グラウンドとアンダー・グラウンドなど、異なるものを繋ぎSAYOKOというひとつのジャンルを打ち立てたと言うべき山口小夜子の軌跡を、アーカイヴとともに辿るものです。
もうひとつは、宇川直宏、山川冬樹、生西康典、掛川康典、エキソニモという、彼女の身辺で活動した後、現在のシーンにおいて大きな影響力を持つ先端的な表現者たちが、小夜子に捧げる新作インスタレーションです。 また、小夜子の急逝の直前に、新聞紙上で往復書簡を予定していた森村泰昌も、彼女に捧げる新作を出品します。
小夜子自ら自由にリメイクし愛着を伝える旧蔵の服など、「ウェアリスト(着る人)」と名乗った彼女の美意識も存分に紹介します。
小夜子の声、姿、気配が充満する空間で、彼女の未だ終わらない物語を体感してください。
展覧会|東京都現代美術館
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/sayokoyamaguchi.html
私はお恥ずかしいながら、山口小夜子さんについて
・黒髪におかっぱスタイルでミステリアスな雰囲気と圧倒的な美と力を持つ、1970年代からトップモデルとして世界のモードを席巻
・幅広いアーティスト活動も行っていた
といった程度の知識しかありませんでした。
小夜子さんのモデル以外の活動、ご自身がデザインされた舞台衣装や、2007年に急逝するまでの数年のあいだに、若手のアーティストなどととコラボした、ファッション、音楽、映像、文学、舞踏などの様々なパフォーマンスの軌跡に触れることができました。
小夜子さんの不在によって、その存在を強く意識させられる作品でした。
映像作品の展示も多くて、とても見応えのある展覧会でした。
それにしても、資生堂の専属広告モデル時代の映像やポスターの美しいことと言ったら!!
本当に、ため息が出ました。